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押し寄せる哀れみは叶わぬ彼方への裏切り。
ずるずると長い髪が煩わしい。そう言われて、首元で髪を切られたのは何時の事だったか。
「兄様に何と言えば良いのだろう」
自分の言葉に自分で驚いた。離れた時は、二度と戻るつもりなどなかったのに。
兄様。
思い出した途端、帰りたくなった。
帰ろう。こんな形ばかりの所からは抜け出して。
清苑に同情はするけれど。
私がいようといまいと、あなたの絶望は埋まらないから。
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Flit from word to word.
(涸れる空)