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はじまりは、まだ少し先に
ドリーム小説 「えっ、後宮に女性ですか?」
「そうだ」
現国王―――紫劉輝は不機嫌な声でそう呟いた。
「………劉輝様が馬鹿のふりをしているのを見かねて、お年寄りが動き出したんですね」
「何をしようと、余は、政事をしない」
「でしょうね。今はそれで結構ですよ」
「……いつも思うが、そなたは一体何者なのだ?」
会うごとに言われる言葉に、は微笑んだままだった。
「さあ?誰だと思います?」
「………余にはわからぬのだ。そなたが誰なのか。そして、どうして余に政事をしろと言わないのか。そなたは官吏なのに」
「ええ、確かに私は官吏です。けれど大切なのは家族や友人で、国ではないのです」
「なぜだ?」
「言いませんでしたか?私はここより東の国の生まれなんです。なので、この国に故郷や、育った場所なんてないんです。まあ………故郷なんてもう無いんですが」
はっ。そう嘲笑う声が聞こえるようだ。今言ったことは全て嘘、は生まれてこの方この国を出たことはなかった。
「どうしたのだ?」
その顔色を見て劉輝は先ほどの問いに後悔した。自分がそうであるように思い出したくない過去を思い出させてしまったと。
「いえ、心配くださってありがとうございます。お茶、おかわりなさいますか?」
「いや……そなたと寝てからにする」
すっと背後から抱きしめる。
「ふふ、それではお茶が冷めてしまいますよ。劉輝様」
「かまわん。必要ならば朝、女官に持ってこさせる」
「……仕方が無いですね」
茶碗を置き、劉輝と向かい合うように体の向きを変える。
軽く口付けを一つ。そのままを持ち上げられる。
「何も無いとは言え駄目王と寝ているのがばれたら、弟が怒りそうです」
ふう、とため息をついた。隠すのも大変なのだ、特に養い親達。
「そなたはいつも弟ばかりだ」
そう答えて、口付けをする。
「大好きですから。可愛くて、可愛くて、仕方がないんですよ」
「少し、妬けるのだ」
「嫉妬してくださるんですか?……っ、嬉しいですけど、お気持ちだけにしてくださいね?」
首の付け根辺りまでおりていた顔を上げて、劉輝はにやりと笑う。
「………いやだと言ったら?」
「それは困りましたね。にしても………今更ですが左右、変わる気ありません?」
「いやだ」


朝起きたら、服を直され髪も結ばれて、劉輝の膝の上だった。完全弟あつかい。
何この恥ずかしい状態、と言ったら、キスをされた。

何、この恥ずかしい生物



***
ぎやああああああああ!!!!どうしましょう。管理人初です。
こんなの何でもないと言われそうですが、読むより断然、書くのが恥ずかしい。
なんたって作者の中では映像化されてるんです………っ!
ええ、ただ抱き枕になっているだけですけど。
恥ずかしさの余り何回顔が赤くなったことやら。ほんと、書ける人に尊敬が芽生えてしまいます。

第一回 拍手再録
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