自分の為なら、いくらでも平気で真実を殺せるよ
週末になり、学生達を迎えさわがしくなったホグズミードの町をぬけ、丘に向かう。
足取りは軽いし、服装も友達が可愛いと言ってくれた。
ただ、少し焦っていた。
ジェームズ達を振るのに時間がかかってしまったから。
遅れたからと言って彼が怒らないのは知っているが、それでも毎度申し訳ないと思う。
なんたって遅れるのは決まって自分なのだから。
軽く息を弾ませ歩きながら、時間を確認する。
何とか間に合いそうだ。
待ち合わせの場所。
町外れのベンチ。
「……?」
どうしたのだろうか、彼が来ていない。
「何してるんだいリリー?」
セブ…
「っ……ポッター。何の用かしら」
いつものにやにや顔をしてそこにジェームズは立っていた。
「こんな週末に一人でさびしくない?」
「あなたには関係ないわ。私、人を待って……」
ジェームズとセブルスを会わせるわけにはいかない。
普段から仲の悪い二人だ、こんなところで会っているとわかったら彼に何をするかわからない。
「スネイプなら来ないよ。リリー」
「!………っあなた、彼に何をしたの!」
「ひどいなぁ僕は何もしていないよ?勝手にあいつが倒れただけ」
シリウスの投げた火薬が当たってなければだけどね。
「おっと。どこに行くんだいリリー」
急いでホグワーツに向かおうと席を立つリリーをジェームズは自分とベンチの間に腕で閉じ込める。
「どいていただけるかしらポッター。あなたに用は無いわ」
有無を言わさぬ視線で、ジェームズの拘束から抜け出したリリーは今度こそ帰ろうと足を踏み出す。その背後に向かってジェームズは投掛ける。
「わかてるんだろう?リリー。このままじゃいられない事ぐらい」
その言葉は誰にも答えられることなく春のホグズミートに広がっていった。
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滾々五十題 (群青三メートル手前