続いて行く
ドリーム小説


手紙を封も切らずにごみ箱に捨てる。
はい、カミソリでも入れてたんだよねそこのお嬢さん。去り際の綺麗な顔が、
憎々しいその視線で台無しですよ。


やん。おはよ」
「おはよう謙也くん」

フルネーム面倒、嫌がらせ始まったしいいやと謙也くんを名前で呼ぶことにした。
というか、きらきらとした彼に負けた。ピュア天然強し。今更ながら謙也くんみたいなタイプに本当に弱いらしい。あと、白石くんも私を名前で呼ぶ。
鳳くんは天然だけどピュアではなかったなぁと思いだす。天然だからこそ、結構笑顔で抉る後輩だった。殺気とかも向けられたし。
うんまあ、私がからかって遊んでたせいだけど。

「手紙なん?」

表情から分かってないなと察する。
聞くに、白石くんはあまり自分から女子に話かけるタイプでなく、謙也くんはまさに男女両方の人気者。二人とも特定の女友達と言うのは今までいなかったらしい。
それを本人達がどう思ってるかは知らないが、こういう行動をする彼女たちのせいなのは確かだろう。
一番上のをそっと開いて、『二人から(以下略)』と書かれた手紙を謙也くんに見せる。

「なんやこれ!ほんまに全部!?」
「確かめないよ。剃刀とか入ってる事もあるから、そのまま捨てるのがいいんだよ」


上履きの中に入れられた画鋲もそのままゴミ箱へ、軽く点検して履く。


こういうことに慣れてしまってるのは少し悲しい。
自分で選んだ道だとしても。





最近仲良くなった千歳くんも交えて四人で昼食。さすがに教室の机一つでは狭いので横をくっつけることにしている。
いつのまにか一年一組の教室で集まるのが通例になっていた。
落ち着きなく犬っぽい謙也くんに、スローなトトロっぽい千歳くん。非常に和む。
いい。
自然と視線は二人に向く。じーというよりは、ぼんやりと二人を見続けながら会話する。
このごろ昼休みななるとそんな感じの私に、白石くんは不機嫌らしい。
ぶすぶすと拗ねている。
それはそれで可愛いんだろうけど、それよりも。

「(いやされるわー)」
「何や。二人ばっか見て。俺もイケメンやのに…」
「あ……はははは」
「なー白石。完全に神経ゆるんどんでコイツ。あきらめ」
「………そやな」
「うんーいや、だって好きだし。なんか見てると和むよね。しあわせだよねー」
「は!?」
のほうがむぞらしかよー」
「そーよかったわーお役に立てて」
「……なんや、あほらし」
「………」

癒しは大切だ。







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