そうなる
ドリーム小説


予想していたことがついに来た。
傷つけたと勝ち誇ったような顔をした元友人。
ここで脅えて肯くのが彼女たちの望みなのだろうが、生憎そんな軟な精神はしてない。

「うーん。そっか残念だねー」
「え?」

それだけ言って、彼女らに背を向ける。さようなら、可愛らしき私の友人たちよ。
そんなわけで一年一組を出て、忍足くんのいる二組にお邪魔する。
予想通り忍足くんは驚いた顔をしたものの、歓迎してくれた。
一緒に食べてる人がいたらすみません。
忍足くんは浪速のスピードスターに相応しい食べっぷりだし。私も無言で食べる。
所要時間五分でごちそうさま。

「んでなにがあったん?」
「んーもう少し持つと思ったんだけどな」
「?」
「私達といたいなら、白石くんに近づかないでよ…ってさ」
「あーやっぱりか」
「やっぱりだよ」
「つまり俺のせいやんな」

ぎょっとして振りかえれば、弁当を持った白石くんが立っていた。そのまま何も言わず椅子を引っ張って来て、同じ机に弁当を置く。机の上には片付いた私の弁当水筒と忍足君の飲み物しかないので、スペースとしては余裕だろう。


「委員会が終わって教室戻ったら、なんや女子がピリピリしてて、さんおらへんし…って思ったら、やっぱそうやったんやな」
「え、あー…うん。そうだね」

あははとわざとらしい笑いが出る。
軽く気にしないでよといえるほど私達は仲良くない。

「でも…そそもおかしいんだよ。単に人気があるってだけで、その人の友人関係まで周囲の了解がいるだなんて」
「…」
「そうやって排除してさ。それで一番傷付くのは誰かってことなんて…考えれはばかるのに」

男女の差異が出て来た初等部半ばから、まともに私以外女友達のいなくなった彼ら。
男子テニス部部室に無断で入れたのは私だけだと知っている。宍戸が他愛無い話をする女友達は私だけだと知っている。忍足くんが優しくしなかった女子は私だけだと知っている。
沢山、沢山思い出のある、大好きな彼ら。
思い出すと腹が立つ事もし多いし、雑に扱われていたけど、それが友人としての扱いだと知っている。

「あーこれから二人に物借りることもあるかと思うけど…嫌でなかったら貸して?」
「おん、ええけど…?」
「こういうやからは平気な顔してるのが一番。ついでに好きな人に知られるのを極端に嫌うのです。どーせこうなるだろうと教科書一式家に買ってあるんだよね。だから、学校でだけよろしく」

さてさて体操服を代えを常備しておかないと。
対処法を色々伝授してくれた、一見クールなのに、かまってわんわんなモデルの彼を思い出す。久々だし、今夜にでもちょっとメールしよう。







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