安っぽい
ドリーム小説 四天宝寺高校の食堂は真っ当な食堂だとは思う。
特に商品名のないみかんジュースとだけ書かれた紙パックをショーケースから取り出し、おばちゃんに見せてお金を払う。ありがちな光景だが、氷帝中学にはなかったものだ。
中学時代な他校に行く事の多かっただから何事もなくすんでいるが、あの御坊っちゃん達じゃあ大騒ぎになるんだろうななんて自分の事を棚上げして思った。

「やっぱり味が薄い…」
「そりゃ食堂のんやからね」
「でも毎度安い方買っちゃうんだよねー」

同じ様に百円のコーヒー牛乳やりんごジュースと書かれたものを飲みながら彼女達は言う。
何度見てもひらがながなのが安っぽい。
以前、せめてりんごはカタカナにすればいいのにとは言ったことがあったが、それでは商標が取れなかったのだろうと言われた。

「あれ?財前くんじゃない?」

そんなことを思い出していると、少し離れた所からそんな声が耳に入って来た。と同じように彼女の声で気付いて者もいたのだろう、ちらほらと声があがった。彼女達の視線の先を見れば、黒髪に学ランを着て、テニスバッグを背負った男子が食堂前を横切っていく。四天高校の制服はブレザータイプだから、彼は他校生だろうか。

「白石くん達に会いに来たのんかな?」
「そうやろな。部長同士で話に来たんちゃう?」

やっぱり他校生なんだ。
四天以外の関西強豪を知らないので、そこの部長だろうかと当たりをつけた。視線を戻す延長で壁の時計を見る。

「次、移動教室だよね?そろそろ行く?」
「うわ、教科書持って来たっけ…」
「今日はいらないよ」
「流石委員長!良く知ってるわぁ」

それは関係ないと思った。



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