かわらない
   ドリーム小説 高校になっても、校舎が変わったぐらいで、相変わらずテニス漬けの毎日。
今日も白石は授業が終わるとすぐ、愛用のテニスバッグを持って部室へと向かう。
今日は告白される事もなかったなんて余り声を大にして言えない事に喜びながら歩いていたら、部室横の木陰で謙也と女子生徒がいるのが見えた。
告白かと思いながら女子生徒の横顔を見た。
だった。
同じクラスと言うだけでまだ話したこともないが、一年では有名な生徒。数少ない高校からの転入性で主席。特別派手でもなく綺麗な顔立ちをしてるわけでもないが目立つ子だった。

「―――――!」
「―――。――――」

どうやら告白ではないようだ。
しかし話は盛り上がってるようだし、横を通り過ぎようとすればその友人に呼び止められた。

「…なんやねん」
「ほら、さんこいつが白石やで」
「えーと…あ!?」

指さされた白石を見ては少し考えてから声をあげた。

「うんそう、聖書さんだ」

嬉しそうに笑う。

「ってことは、忍足謙也くんがスピードで、白石くんが聖書。あと、小春ちゃんともう一人いて…?」
「バンダナしてる一氏と銀さん。石田銀ちゅースキンヘッドの人や」
「そっか。ありがとう忍足謙也くん」
「いやいやなんでフルネームなんや。謙也でえーで。忍足だと侑士とかぶるし」
「…………うーん、遠慮しとくよ」

そう言っては白石の方に体ごとむける。

「始めまして、です」

四天では滅多に見る事の無い、前で手をあわせたお辞儀。彼女の動きに合わせて、何の改造もされていない長めのプリーツスカートが揺れた。

「…おおきに。白石蔵ノ介や」
「クラスメイトだよね?」
「そや。で、謙也。何時の間にさんと仲良うなったんや。てっきり告白でもされてんのかと思ったで?」
「は!?なんでやねん!ほら氷帝に従兄弟がいるって話したやろ。さんそいつの友人やねん」
「テニス部と仲が良かったんです。四天宝寺中学の試合も見させてもらいました」
「そうなん。じゃあエクスタシーって叫んでるのも聞かれとったんかいな。恥ずかしいわ」
「不二くんとの試合で叫んでましたね」

初めて話したのに、ぽんぽんと会話が弾む。

「じゃあ私帰るね。二人とも部活頑張って下さい」
「見ていかへんの?中に入れたるで?」
「………取りあえずファンの女の子を敵に回したくないから」

じゃあと は帰っていく。
何の躊躇いもなく振りかえる様子もない。
あっさりした子だと白石は思った。
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