愛情表現のうちの一つですよ
「愚兄そのごー」
呼ばれた少年は、愚兄と呼ばれたにもかかわらず、機嫌よく振り向いた。
予想通り、そこにいたのはまだ小さい弟『龍蓮』だった。
「うん?何、わが片割れ」
「もらった」
そう、龍蓮が差し出したのは桃。
「もも?」
「毒はない」
「五姫はそくさいか!笛をふこう」
「茶をのもう」
「三兄はー?」
「「「ここにいるよ」」」
聞こえたのははるか下、地面から。ぴょんと二人は飛び降りる。
少年はそのまま着地し、龍蓮は長兄が抱きとめた。
一人が口を開く。
「それを食べるなら、楸瑛も入れてあげなさい」
「いやだ」
「はーい」
双子とは言え、答えはは別々。
「龍蓮!」
「いやーだー」
すぐ上の兄にほほをうにーっと引き伸ばされても答えは変わらない。
反対に兄の頬を叩いてしまう。
「い゛っ・・・・う、うっ龍蓮のばかぁ!」
「「「龍蓮」」」
「あやまりなさい」
兄達に睨まれさすがの龍蓮も悪いと思ったようだ。
「・・・ごめん」
「どうしたんです兄弟そろって・・・桃ですか?」
「はいはい、楸瑛も来た事だし。食べよう」
「五姫からの頂物だよ」
「そうですか・・・珍しい事もあるんですね」
「愚兄」
「・・何だい龍蓮」
「三兄と我が片割れが一緒に食べろというから致し方ないのだ」
「ああ・・はいはい。わかってるよ」
わざわざ、言わなくてもいいのにと思う楸瑛。

「いじっぱりー」
「ちがう!」
「「「くすくす」」」
「何で笑ってるんですか兄上達」

こうして、今日も双子は兄達に囲まれてすごすのだった。
鳥籠十題 04愛情表現のうちの一つですよ(群青三メートル手前)
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