きれいすぎておびえます
ドリーム小説 静蘭さんは怖い。
そんなことは前から分かっていたことだけれど、この頃特にそう思う。

例えば燕青を怒鳴りつけている時。
威圧感のある声と鋭い言葉が怖い。
あれを毎日聞き流せるのは燕青だから出来ることだ。
静蘭さんいわく腐れ縁、燕青いわく親友だということだが、その関係が続いているのは燕青の器の大きさのお陰であるということが大きいと思う。

例えば隙のない完璧な笑顔で接客をしている時。
ほとんどのお客さんは(それこそ男女間関係なく特に若い人は)その笑顔を見て顔を赤くし、丁寧な説明と親身な品選びで静蘭さんの雰囲気にのまれてしまう。
お陰でうちは骨董屋なのに若いお客さんも多く、通りに活気を運んだと周囲の店長さん達からお褒めの言葉を貰うことが出来、十分繁盛もしているのだが。
静蘭さんや燕青を見つけてきた父親に感謝。
ありがとう父さん。店員さんも商品だっていっていた意味が分かったよ。でも怖いんです。
静蘭さんに声をかけられるだけで、びくと怯えるこの体だけでもどうにかならないのだろうか。


あーまたやってると客を送り出した燕青は思った。
会計のところで話しているのは、この店の店主(といっても大学生なので正式には次期店主)であると親友の静蘭である。
話しているといっても二人は一メートル弱離れていて、わかりやすくは怯えていた。対して静蘭は何でもないように笑顔である。
それは、静蘭がの態度を気にしてないというように気遣ってしているのだと燕青は聞くまでもなくわかっていたが、それがどうも逆効果になっているというのをこの間燕青はから知った。
怖いねぇと燕青は思う。
骨董屋を継ぎたいと多くの骨董品を小さい頃から見てきたは、良い目利きである。でなければあの人が娘といえど店を渡すわけがない。
そしてはまた、商売相手の偏屈な老人を多く相手にしたためか、観察眼にも優れていた。
結果的にあの人と同じ、眼の優れた人間たらしとなった
この店にあるほとんどの物はが見つけ低価格で買った物が多い。客の年齢層も考えて仕入れてくるので、店が繁盛するのも道理である。そこをは大きく勘違いしている。
燕青と静蘭がここにいるのは惰性ではなく、に落とされたからである。バイトにいたるまでおそらくそうなのだろう。
なのにどうしてか、は静蘭の客に対する態度とに対する態度の違いにはまったく気付かないのであろう。いや気付かなくとも、なぜ怯えるのだろう。
あの人にくらべ、はたらしが強力になった分、鈍感になったのだろうか。
助けて・・・と涙目で訴えてくる店主を親友から助けながら、報われない親友に苦笑した。
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