「本人曰く、白米と食べると辛いが美味しい物」事件
ドリーム小説 べちゃ、ぺたぺた。
べちゃ、ぺたぺた。
その日、規則正しい音と共に奇妙な臭いがその室には充満していた。



「まず、白菜は裂いて硬い部分と外側の葉を取り除き、塩に浸して直ぐに取り出します。それに根元に塩を振りかけて二刻塩漬けし、裏返してまた二刻。水洗いして水気を切ります。
大根は千切りにし、粉唐辛子と和え、塩を加え、生物なども加えて、白菜の葉と葉の間に塗ります。それを具が出ない様に二つ折りにし、外側の葉で包むようにして壺の中に並べ、最後に水と塩少々を加え、上に流し込み、密閉して涼しい場所に保管すれば六日程で食べごろになります。
辛さてご飯がすすむ上に、臭いが独特なので、毎朝出せばあら不思議。食欲が無い時でも唾が出てくると言うまさにパブロフの犬。保存食なので、日持ちも抜群です」
「………で、それを作りたいのですか?」
「はい」
筆を止めたかと思うと、怒涛の様に話し出したに、拾った頃を思い出す悠舜だが、手本の筆頭は紛れもなく悠舜だ。ほかの官吏はまだしも、女として燕青の口調なんか真似できるかと言うのがの本音。何気に結構酷い。
拾った頃は何かと戸惑っていたは、暫しすると元気になって悠舜達を安心させた。
むこうはどうやら、かなり文化の進んだ所の様で、は当然の顔をして文字を学び始め、驚異的な速度でそれを覚えて行った。
本人曰く、「漢字とひらがなとカタカナとローマ字と英語(実践はともかく)を十代で習得するのは普通」らしい。何という国だろうか。
さらに、その味について熱弁するに、悠舜は余り考えずに許可を出した。



「ゆ、悠舜……!!」
ばたばたと、威厳の欠片も無く飛び込んできた燕青に、悠舜は本日何度目か分からない返事を返した。
「………の郷土料理だそうです。臭いはきついですが、安全です」
答える間にも、普段を可愛がっている官吏達が、血相を変えて飛び込んで来る。
失敗したと、めずらしく悠舜は後悔した。



これが夢だろうが何だろうが、戻れる保障も期間も分からないのだ。
思う存分楽しんでやる。それがの出した答えだった。
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