繰り返しましょう、貴方が分かってくれるまで
注:オリキャラ


寂び付いたドアがたてた音にクロロは顔をあげた。
「お前か」
「フェイタンの方が良かった?」
からかい口調でそう返すとクロロは寂しげに首をふった。
「そこにいる」
確かに、フェイタンはベットの上で寝ていた。すやすやと猫の様に眠る目には涙。
「何したの?」
責める訳でもなく聞く。それはきっと彼が寂しげな理由と同じ。
「信じて貰えない」
クロロが立ち上がる。私は空いていた椅子に座った。
「………クロロが自分に飽きない事を?死なない事を?」
「飽きない事を。いつか俺に捨てられると思ってる。いくら違うと言っても絶対に信じないんだ」
「それは仕方が無い事だと思うよ。だって私から見てもクロロは飽きっぽいし、それにフェイタンはクロロが飽きて捨てたモノを知ってるから」
涙をすくっていたクロロの指が止まる。
「フェイタンは、そんな女共とは違う」
クロロが静かにあくまで静かに否定し、顔を歪ませる。
「どこがう?違うと証明出来る何かがある?」
クロロは答えない。
「彼にはクロロが全てなのよ。それぐらい盲目なの。だから普通の判断なんて出来ない」
「どうしろと言う」
「生きて、直接言いつづけるしかないわ。彼が信じるまで」
もしかしたら一生無いかもしれないけれど。言えなくなるその日までずっと。
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長文五十音題(壱)(群青三メートル手前