つまずいた身体
作った大量のシチューは旅団(ヒソカさんとコルトピさんは除く)によって綺麗に完食され、私はまた新たにシズクさん、フィンクスさん、ウヴォーギンさん、ノブナガさんに出会った。
その翌日、私はまたもやフェイタンさんによって、クロロさんの腕の中から脱出した。こう言う時私は無力だと本当に感じる。
「何考えてるね」
「っ、いえ何も。それよりも昨日の夕食はどうでしたか?」
「…………久しぶりにうるさかたね」
料理の感想じゃないですよねそれ。
「美味しくなかったですか」
「不味くは無かたね」
美味しくも無かった訳ですね。
頑張らねばと思った。



朝食を食べ終えると、少し時間が空いたので復習でもしようかと空き部屋を探して回った。手ごろな大きさの部屋があったのでそこにする。何だか血の匂いが濃く暗いが、特に気にはならなかった。
私は血の臭いだけは、慣れていると思う。家でもそう言う所に行けばそれなりの濃い臭いがした事もあるし、死体を見た事もある。むしろ、抜けだして冒険した頃を思い出す、懐かしい匂い。
久しぶりなので、纏から始め発まで。大丈夫。忘れてない。
次に、葉を拾って来て水を入れたグラスに浮かべる。心臓の音が激しくて、水面が少し揺れた。手を脇にかざす。葉が激しく動いた。
「操作系ね」
「フェイタンさん」
よっぽど集中していたのだろう。辺りはもう暗く、フェイタンさんもよく見えなかった。
「なぜここ使た?」
「いけませんでしたか」
「ここがどこ分かてるか?」
「いいえ」
フェイタンさんが来た事にこの匂い。それから大体の予想は付いているけれど。
彼は溜息を付いて、部屋を出て行こうとした。私もそれを追いかけようと足を踏み出すが、何かに引っかかってこけた。痛みの感じから血が出たみたいだ。
フェイタンさんが引き返してくれるのを感じて顔を上げると、ぐっと手首をひっぱっれた。私が立ち上げると、そのまま彼は私を引っ張って行く。道順からどうやら広場に向かっているようだった。
「団長が探して、皆探したね」
私の事だろうか
「心配かけましたか?」
「………逃げたかと思たね」
逃げませんよと私は答えた。
私があなた達から遠ざかる必要なんて無い。たとえ、逆はあっても。
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手を伸ばしたくなる20題( TV)
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