逃げる事も許されない
ドリーム小説
今、私は困っています。どうしてこんな朝から困らなくてはないのだろうかと自分でも思いますが困っています。
クロロさんの腕の中から脱出出来ません。
「クロロさーん」
兄さんの場合から考えて、クロロさんは私が起きた時に目を覚ましたはずなのだ。たしかに、冷え性で寝づらいのに気付いてくれて、引き寄せてくれたのは有難かったが、そろそろ放してほしい。それにこの人の容姿を考えると、私なんかを抱きしめなくとも街に行けば勝手に女なんてよって来るだろうから着がえて出かければ良いだろうにと思う。
「クロロさん。放して下さいってば」
ゆすってみるが反応無し。もう日が高くなっているはずだ。だれか団長を起しに来る人はいないのだろうか。その時ドアを叩く音がして、誰かが入ってきた。私は背を向けた状態で相手を見る事は出来ない。
「………じゃましたね」
男の人だと思われる声、誰だろう。シャルナークさんでは無いのはわかった。
「ああ待って下さい!」
「何ね」
「クロロさんの腕をどけていただけませんか?抜け出せなくて困ってるんです」
「そんなのお前がするといいね」
「すいません。私の力では無理です」
誰だかわからないが優しく無いと私は判断した。
「何がお好きですか?」
「拷問」
「すいません料理でお願いします」
拷問なんて聞いた事しかありません。でも私以外の家族はみんな出来るんだろうな。私が思考に溺れていると、彼はクロロさんの腕をよけてくれた。起き上がり助けてくれた人を見る。背の低い、マントを来た男の人だった。
「初めてですよね。・ゾルディックと申します」
「知てるね」
さっさと部屋を出て行く彼の後をあわてて付いて行く。すぐ、振向かれた。
「何で、付いて来るね」
「お名前を聞こうと思いまして」
「フェイタン」
「そうですか、フェイタンさん何か食べたいものがあったら言ってくださいね」
「別に無いね」
今度こそ去って行く彼に、愛想は無いけれど、悪い人ではないと思った。