ピンチといわずして何という
ドリーム小説 マチさんに貸してもらった服に着替え、寝る場所を聞きに私はクロロさんの部屋を目指していた。と言っても広場とマチさんパクさん(そう呼べと言われた)の部屋以外は分からないのだ。広場にいたシャルナークさんの後に付いて行っているだけだったが。黒いドアの前でシャルナークさんは止まった。ここがクロロさんの部屋なのだろうか。軽くノックしただけで、入って行く。私も続いた。
部屋には大きなベットとソファーにテーブル、そして大量の本があった。
「はい団長、届け物」
シャルナークさんはそれだけ言うとさっさと出て行ってしまったので、私はソファーに腰掛け、本を読んでいるクロロさんを見た。
「クロロさん」
軽く呼ぶとかれは本から目をあげた。
「何だ?」
「私はどこで寝れば良いのでしょうか」
「ここで寝ればいいだろう」
「……ペットだからですか?」
「ペットだからだ」
昼間も説明をしてもらったが、どうして兄さんは私をクロロさんに預けたのだろう。ここでの私の役目はプリン作り兼ペットである。ペットだから、食費などはクロロさん持ちで、戦闘などにはもちろん参加出来ないそうだ。最後のは絶対兄さんの提案だと思う。後は足手まといなどもあるが、ゾルデックの姓は多分関係無いと思う。
とりあえずクロロさんから遠い、ベットの右側に私は潜り込む。暫くして明かりが消され反対側にクロロさんが入って来る気配がした。
何だか寝付きにくいと思いはたと気付く。私は冷え性だった。いつもは兄さんのベットで殆ど抱き枕にされて寝ていたので忘れていた。私は一人で寝るのが得意ではない。それでも仕方が無い時は、沢山のカイロを用意させてそれを回りに置いて眠っているのだ。
両手を頬に当ててみる。やはり冷えていた。これを解決する方法が背後に一つだけある。けれど、まともに話したのは今日が初めてだろう相手に、兄さんにしてもらっていた様な事を頼める訳が無かった。



表むきはプリン作り兼ペット、本当は外も見てみるべきだと言うイルミの頼みで連れて来たは先ほどから何やらこちらを伺ったり、ため息を付いたりと一向に寝る気配が無い。
一度夜にイルミを訪ねた時の光景を思い出した。冷え性なのか。仕方が無い、このままでは自分が寝れないのだ。
少々強引だが寝返りを打った時にを引き寄せた。少し驚いたようだが、すぐにおとなしくなった。
「暖かい」
俺は冷たい。それにしても抱き寄せた少女は小さかった。本当にこれでイルミの次に生まれたのだろうか、次男の方が大きいじゃないか。はゾルディック家に生まれながら、暗殺関係の教育を受けていないらしい。それもこの理由に繋がるのだろうかと思った。
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大変なことになってきた10のお題(東から南へ三十度)
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