A memory
冬になり早く日が沈む。
そんなある日、魔法薬学教授の自室を訪ねる者がいた。
コンコン
「私」
「何のようだ」
「今から空いてる?」
「ああ」
「いい物見せてあげる。付いてきて」
そう言って歩き出す。

コツコツ……コツコツ

「急いでセブルス。夜になっちゃう」
「おい、人を走らせてどこに行くつもりだ」
「『トレーデヒルの肖像画』の裏」
「そこに行ってどうする」
「秘密。いいから走るの」
ギイッ。きしむ音を立てながら大きな扉を開く。
「な…………」
「いいでしょう」
「どうしてこんな物が」
「さあ?わかんない。夕方から朝方にかけてのみ現れるよ」
しばらく、じーっとそれを見ていたセブルスは口を開いた。
「ふれれるのか?」
「無理。何らかの方法で残された立体の記録だからね。何に残したのか突き止めるのは難しいし、学生時代に作ったんだろうから当然違法。」
「…………なぜこれを我輩に?」
「……明日になれば、生徒達がクリスマス休暇を終えて帰ってくる。休暇最終日ぐらい羽を伸ばして、セブルスの眉間の皺を休ませてあげようかと思いまして?」
「ほお?ならば当然、何か持ってきたのでしょうな」
「モチロン。厨房から貰って来たよ。えーっと、ローストビーフにポテト、赤ワインにスープ。」
とりあえずグラスに赤ワインを注ぐ。
「赤ワインとスープ。二つは多くないか?」
「せっかくしもべ妖精が入れてくれたんだからいいの。ってことではい、グラス。」
「乾杯!」
カンッ!



後書き
夜になる前にと言うか夕方にと言う感じになってしまいました。
最後の「乾杯!」カッコが一つなのはセブルスがそれに「ああ」と返したからです。
ではもう少しどうぞ。


「ちゃんと乾杯!って、してよ」
「ふん」
「ちょっと何、先に飲んでるのよ」
「(無視)」
「こらぁ無視するなあ!」
「あ」
「うん?……あ、うわぁ。い、嫌な思い出もあるさ」
「・・・・・・(あいつら)」
← back to index
template : A Moveable Feast