このままで、このままなら
ドリーム小説 という人物は、気立てがよく体術が出来てべらぼうに剣の腕も立ち、頭もよい。
性格だって優しく、けれど強かで、年上からはちゃん、年下からはさんと呼ばれている。唯一の弱点と言えば、何故か書類仕事が苦手なことか。
入隊時に反対する近藤や土方に宣言した通り風呂や便所も自分で手配し、洗濯物も裏手ので臆することなく干している。
そんな彼女は沖田のいる一番隊に配属された。


「お疲れ様です副長」
「で、お前は何してんだ」
「…御覧の通りです」

そういっては苦笑を浮かべた。
対して、膝枕をしてもらっている沖田は土方が近くにいるにもかかわらず全く起きようとしない。
昼間だというのに熟睡だ。
さん、さんと呼んでいて、懐いてると聞いたがここまでとはと土方は思う。
ふと、が沖田の髪を梳いた。安心しきった寝顔が土方の前にあらわになる。
その様子は今は亡き姉のミツバに対するものと似ている。

以前何のために真撰組に入ったのかと聞いた時、は戸惑うことなく自分ためですと答えた。自分のためとはお金なのか、忠義なのか、はたまた復讐のためなのか。それ以上を土方は聞いていない。

、仕事手伝え」

思考をやめて当初の目的を口にすれば、わかりましたと二つ返事では了解する。
沖田の頭を慎重に移動させ、隊服の上着を脱いで、彼の上にかける。
そうして土方の方を向いたの表情は満足げだった。


最初に沖田と手合わせをした時、余りに人を切るのに慣れた様子で、淡々とした態度と無表情を恐ろしいとさえさ思った。
けれどそんなの剣を見て、土方はそこには強い意志があると思った。
強い、命に代えてもと思うほどの強い意志が。
やはり、山崎に監視と調査を命じるべきだろう。
理由を調べずに放置するにははあまりにも優秀すぎた。

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