憂さ晴らしにお前を喰ってしまおうか
ドリーム小説 ジェイドに連れられて、ルーク達は「魔女」に会いに来ていた。
魔女はと名乗り、噂に聞いた禍々しい通り名とは相反して、普通の軍人に見えた。
ジェイドが要件を告げた後、くるりと振り返ったはぼそりと何かを呟いた。何かがを中心にあふれ出る。
殺気とも異なる冷たいもの。
こちらへと歩いてくる。それは真っ直ぐにガイへと向った。
飛びのくだろうと思われたのに、ガイは動かない。否、動けないのだ。
顔には脂汗が浮かび、体はふるふると震えている。
ガイの方へ行こうとしたルークはジェイドに無言で止められた。
その目は興味深そうだ。
トンとがガイの胸に右手をあて、す、と少し下へと手を滑らす。
目を伏せたまま、なるほどねとは呟いた。顔をあげガイを真っ直ぐに見る。
その目は強い。
「君には封印した記憶があるみたいだね」
ガイがぎょっとしてを見返す。
「解いてあげようか?もちろんそれなりの代償が伴うけれど。後、私への報酬もね。信じられないって顔だね。言ったでしょ。私は魔女。魔女を魔女と定義する基本的なものは何だと思う…魔法だよ。魔法が使えないものは魔法使いでない…当然のことだよね?」
小さな口からこれでもかとすらすらと言葉が飛び出す。その様をルークは呆然としながら聞いた。
「…代償って?」
ガイが震えながらそう言った。
「封印されたものには何であれ意味がある。封印したものの意図がね。この場合、封印者は君の無意識とでも言って置こう。君の無意識はどんな意図を持って封印をしたか…君の為だよ。此処に隠されたものがどんな物であるとしても、それから君の無意識は君を守ろうとした。故に記憶は封印はされ、君は守られた。封印を解くなら、当時ほど出ないにしても君は傷つくだろう。それでもその中に君の求める物があるかもしれない。…中身までは私も分からないから」
でも、とは言って。手をガイから離した。
「やめておこう」
そう言ってガイから距離を取る。は話は終わったとでも言うように背を向けた。
「まってくれ!」
ガイが呼び止める。が踏み出そうそうとしていた足を止めて、振り返った。
きょとんと首をかしげる。そこに先ほど感じた気配はない。
「何?」
「…解いてくれないか」
「けれど君は私に報酬を払えないだろう」
じっとガイがを見る。
「うーん。じゃあ君自身にしよう。うん」
そうは笑顔で言った。
「………だって悪いけどお金は余ってるし?伯爵を軍人にするわけにもいかない…死んだら厄介だからね。じゃあ使用人歴の長い伯爵自身を貰おうかと。君のプライド分を値引きしてちょうどいい感じかなって。払える?」
無理でしょとは意地悪そうに笑った。
「………わかった。あげるよ」
「ガイ?!」
思わずルークは声をあげた。そんあルークにガイは一度笑い返してを見た。
もさすがに目を見開いて固まっていた。
やがてぷっと吹き出す。
「っあははははっははっはっははははは…っ。流石ジェイドが口を出してこないわけだ。くくく…」
の言葉にガイが目を輝かす。
「じゃあ…!」
身を乗り出したガイに、しかしはぴっと指差して駄目だと言った。
途端ガイの表情が悲しそうになる。
笑いやんだはそのまま、上目使いでニッと笑った。
「ここからは私の好意からの言葉だ。喜んで心に刻め。ガイラルディア・ガラン・ガルディオス。君の記憶は確かにここで解くことができる。記憶程度私には容易いことだ。だがそれよりも己で解け。己の力で説いた時、君の厄介な体質は改善へと向かうだろう。だからここでは解いてやらん。私は君を気に入ったからな。握手も出来なくてはつまらない」
ふふとは笑った。




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