そうして、私は君と
ドリーム小説 「リーマスが教師に?」

思わず新聞から顔を上げて凝視してしまった。
言ったリーマスも複雑な顔をしてこちらを見ている。
思い当たるのは今日も一面になっている、シリウス・ブラックの脱走。
関連して生き残った男の子であるハリーの事。
さすがというかなんというかダンブルドアが突拍子もないことを考えたらしい。

「………薬ならセブルスでも作れるけれど…」

だが、リーマスが行ったところで役に立つのだろうかと失礼なことを思ってしまう。
間違いなくリーマスは自分と親友を裏切った彼を憎んでいる。けれどきっと殺せない。
逆に私は元から嫌っているからこそ、ブラックの無罪を確信している。
恐らくセブルスと同じ。あの事件に関して―――闇一般に関してセブルスは何も話そうとしないけれど、そんなもの見てればわかる。
シリウス・ブラックは関わっていない。
あの男が、意図して親友や親友の息子を傷つけられるとは思わない。
けれど、頭に血が上ったら?頭が良いのに単細胞。おそろしく頑固で譲らない。
否。

「…………セブ…っ」

むしろシリウス・ブラックがホグワーツに来たとして、危ないのは彼じゃないだろうか。
そんな軟ではないけれど、心配だ。

「………」
?」

服ぐらい自分で出すと譲らず、相変わらずのみすぼらしい身なり。
外見は随分と疲れた雰囲気に染まったけれど、変わらないハシバミ色の瞳。
仕方が無い、認めよう。私はこの男に愛着のようなものがある。
こうして一緒に住んで何年になるのかもうわからない。十年ほどだろうか。
未だに恋愛感情らしきものはないのだけれど。
向こうからの感情には流石に気付いていて。けれど居心地は悪くなくて。

「ねぇ、リーマス」

あの時、綺麗な偽物の満月を壊したときのように、明確な言葉も感情もわからないけれど。


「…………え、今なんて?」
「だから――……    」  




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