配達へ
ドリーム小説 喧噪の中を進む。

「見て!レインナーの新作が出てるよ!」
「…リーマス、買うなら自腹で帰りにして」

引き籠りの私と軽く隔離されている彼が何故このようなところにいるかというと、私が薬の配達で久しぶりに家を出ることになったからだ。フクロウに任せるのは少々不安なものだったので仕方が無い。
それに暇なルーピンが荷物持ちに付いて来たという訳だ。
とわいえ、それほど多くない薬を彼に持たせるわけではなく、帰りに日用品を持ってもらうつもりだ。
カランと軽い音を立ててドアを開ければ、おやおやと言いながら患者であるおばあさんは店先に出て来てくれる。

「あれからお加減はいかがですか?」
「随分痛みが引いてきてねぇ…本当いつもすまいないね」

手紙である程度様子は知っているとはいえ、少し様子を聞いてから薬を渡す。
随分と回復してきたようなので、量を減らして売る。
お誘いに乗ってお茶を頂き、おばあさんがお客さんの相手もしながら世間話。
店を出たのは夕方になっていた。

「こんなに時間がかかるとは思わなかったよ」
「嫌だった?半日かかるって言ったでしょ」
「うん、そうじゃなくて……フェルリナが気にするほど外に出ないが、こんなに話しこむとは思わなくて」
「他人が嫌いなわけじゃない。そういうのはホグワーツのころから変わってないよ」

日常品を買ってまわると、もう夜。
寒くなって来たのでフルーパウダーで家に戻ると、リビングに腰掛けてすぐにフェルリナが紅茶とお茶菓子を持って来てくれた。
飲む前からふわりとバラの香りがした。今日はディンブラらしい。 
冷えた体があったまって、肩の力が抜けて行く。
やっぱりラナの入れる紅茶は好きだ。


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