犠牲と疑問
ドリーム小説 明るい現在、暗い過去。
払った犠牲とその周囲には不可解なことが多い。

闇の陣営に恐れをなして、逃げ出して殺された。
そう、レギュラスを、大切な夫を貶されるたびに私は声を大にして言いたくなった。
それは違うと、レギュラスはそんな人ではないのだと。
けれどそれをレギュラスが望まない。そのことを直接知っている私はただ感情を抑えつけるしか出来ないかった。
私達の無事を願ったレギュラス。
そななかにいただろう、私、クリーチャー…そしてシリウス・ブラック。
彼にしても、ジェームズをリリーをピーターをリーマスを裏切る男ではなかった。
友人思いの、それこそ私なんかには痛いぐらいグリフィンドールらしい単細胞の熱血男だった。
何年間だったろうか、ホグワーツに入る前に入ってからの六年間。嫌でも見て来た私はそのことを良く知っている。

未亡人の私。親友の一人は母校へ。もう一人は遠い異国へ。
狼男のリーマス。親友の多くはもう届かない所。一人はアズカバン。
心にぽっかりと空いた空洞を埋める様に、私が研究と仕事に専念するのも、そんな私と人狼薬のいるリーマスが近づいたのも自然なことだったのかもしれない。

そんなわけで今、私は研究者で彼は大切なサンプルだ。

「本当に助かってるよ。がこの小屋を貸してくれて」
「何代か前にでも感謝してよ」

どうしてこんな屋敷から離れた所に小屋を建てたのか。そしてどうしてこんな小屋が我が家にあるのか。
その人の肖像画やゴーストを見つけたなら、とりあえずこの特殊な(鍵のかけられる防音完備の頑丈な)小屋を一体どのような用途で使っていたのかぜひ聞きたい。おそらく監禁とか、拷問とか、私の祖先ながらまともな使い方をしていたわけではないのだろうけれど。相変わらず、経験者としてはこれはとても嫌な小屋なのだ。

「…大半は地下牢だったけどね」
「うん?何か言ったかい?」
「何時もより元気そうだと思ったのよ」

この普段にないハイテンションは不味いのではないだろうか。

「そりゃこのチョコのお陰だよ」

心配した私が馬鹿だった。
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