お披露目パーティー
ドリーム小説
「先輩…先輩…大丈夫ですか?」
本日の午後。
リーマス・ルーピンにさえ脅えていた私としては、随分と肝の据わった女の行動をしてしまったが、部屋に戻ると最後、ソファーに体を沈めたまま、レギュラスが心配そうに覗き込んでいるのに気付くまでどこかに意識を飛ばしていたのだった。
「その……目が何だか虚ろですよ」
それは一日分のエネルギーを使い切ったせいです。多分。誰かエネルギーを私に下さい。
ふとみた時計は衣装を着る時間になっていて、ああ、時間切れかと思った。
でもこういった物はたいてい余裕を持って取ってるものだ。
てなわけで。
「せ、先輩!?」
プリンスの珍しい悲鳴が聞こえたが無視。
たまには甘えさせろ。
私はがばっと、レギュラスを引き寄せて抱きしめた。結構容赦なく。
「…いたいです…」
でしょうね。
ぎゅーぎゅーすりすり。
「…う、えー、本当に何かあったんじゃないですか…?」
頭を撫でてみるとさらさらしている。さらさら黒髪。
…不味い。かなり馬鹿なことになってる。
今夜は戦場だというのに。
やはりパーティーにはあの人もいた。そりゃそうだろうと自分に突っ込む。
この方はそういうところで部下を作ったり力を示すのだろう。
君子危うきに近寄らず。が良かったのだが、忘れちゃいけない。
今夜は私とレギュラスが婚約することが決まった初めてのダンスパーティなのである。
しかもブラック家。公式発表がある今日は、主役は私達である。
これで完全に嫌がらせが減ればいいのだが。敵鏡にもそろそろ休みをあげたいところだ。
何て思いながら挨拶をすませ(有難いことに何もなかった!)、レギュラスと数曲踊る。
練習の成果があったのかレギュラスのリードがすばらしいのか、(私とレギュラスが思うに)ミスはなく、食事と互いに友人も来ているので、途中で一時別れた。
べたべたしてこないあたりも、レギュラスの良いところだ。本当に今のところ、婚約者(まだだが)として申し分ない。
飲み物を片手に会場を見回すと、ルシウス・マルフォイに挨拶し終えたとこらしい友人を見つけた。
「セブルス!」
「……か?」
その疑問形は何でしょうか。
取り繕う必要のない友人の前だからだろう、怪訝な顔をしてしまったらしく、セブルスが否定してくれた。
「レギュラスの趣味か…なかなかだな」
褒められたようだ。
そういうセブルスも、軽く束ねたサラサラの黒髪にパーティー用の光沢がある黒スーツ。
ホグワーツでのダンスパーティとは大違いの手の込んだ様子だ。
「そちらこそ」
お世辞ではないという様にいえば、照れられる。
今度またリリーに教えてあげよう。夜更かしは嫌だけど。
「ついにだな」
おおよそ去年の医務室行きでも思い出したのだろう。セブルスがほっとしたような顔をする。
本当に申訳なかった。
「ええ…正式な婚約者持ちだわ」
遠目に婚約者を見ながら、友人とたわいない話をする。
今は長い闇の時代。どちらに属す子供も、大なり小なり不安や闇を背負っている。
それでもこんな時間がもっと続けばいいのに、そんふうに思った。