ままごとのような
ドリーム小説 何をどうやったのか、私とルーピンが珍しく一緒にいたことをジェームズは知ってしまった。
一緒にいただけで何もない(あったら困る)のだが、ジェームズは終始にやにやとして嬉しそうだ。
厄介なことだ。
思わず、手が滑ってその足に魔法動物全集を落としてしまったのも仕方がないだろう。
事前にちゃっかり人が見ていないことは確認したが。

「ひどいよー!」

なんかもう鬱陶しい。
表情にそれが出ていたのか、まるますジェームズが何だか嬉しそうな子をする。この男は絶対マゾである。
ということは、リリーを同じように好きなセブルスもマゾになるのだが…それはないと思った。
むしろ彼はサドである。
図書館へ向かいながら(恐らくジェームズからのストレスで)どうでもいいことを考えていたら、人にぶつかった。
それ程の衝撃ではないが、尻餅をつく。
一瞬つぶった目を開け顔を上げれば、何だか見たことがある顔がいた。
年上だろうか、ネクタイはハップルパフカラー。

「あれ、さん?」
「え?」
「ああ、ごめん。僕はステビンス・ウィットウェルって言うんだ。君は有名だからね、つい…」

これがスリザリン相手ならば間違いなく嫌味にとったが…彼はハップルパフらしい温和な頬笑みを浮かべていた。
差し出してくれた手につかまり、立ち上がる。大したことは無いが、一応尻餅をついたあたりを手で払う。
落ち葉でもついていようものなら、今や家だけでなく後々ブラック家の恥にまでなってしまう。
それは一向に構わないが、そんなことでブラック家の人間から嫌われるのはいただけない。

「すみません、考え事をしていて」
「目立つと悩みも多くなるいからね」

なるほど、レギュラス関係らしい。

「噂ですか」
「うん、噂だけどね」

彼から悪意は感じない。表情の仕草もただただ善良そうだ。

「……つかぬ事を聞きますが、どんな噂を聞きましたか?」

一応、尋ねる。

「うーん、色々聞いたけど…基本僕は噂って信じないし。出来れば君から本当の事を知りたいな」
にこりと笑われると、何だか素直に話したくなってしまう。

そんなわけにもいかないのだが。

「特に面白みもない…彼がちょっと有名すぎただけの、平凡なカップルだと思います」
「平凡って、普通の子はそんなこと言わないと思うけどなぁ」

聞いて来るな。

「でも本当に…ままごとみたいな、学生らしい恋ですよ」

恋だなんて真面目に言うと笑ってしまいそう。

「ふふ、夜の姫らしくない発言だね」
「…!それはまた捻りのない二つ名ですね」

少し驚いた。このんな人からそんな言葉が出て来たことに。
夜の姫。正面から聞いたのは初めてだが意味することは簡単。
スリザリンから男をひっかけては捨てていた私に対する蔑称だ。
ええ。確認したいこともあったのでままごとをすっ飛ばして、すぐに行くとこまで行ってましたよ。

「あ、ごめん、不快だったよね」

彼は申し訳なさそうにした。

「まあ、正直いい気はしませんが」

でも間違っていない。


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