告白
ドリーム小説
新学期最初の月末。レポート達を抱えて図書室に行ったら、セブルスがいた。
クィリナスはと聞けば、知らんと不機嫌な声が帰って来た。喧嘩中だろうか。
二時間ほどしてレポートの山を少し削ったところで、互いに休憩をすることにした。
場所を移し。秋の庭でベンチに座り、菓子を食べて紅茶を飲む。
「ねえ、セブルス」
「何だ」
風は冷たいが体はあったかぽかぽか。
周囲に人気はない。
「レギュラスってどんな子?」
「………………上手くいってないのか?」
意外そうな顔をされた。
「…気味が悪いぐらい本人からは何もないんだけど」
あるのは本人の周囲からばかり。
お陰か何なのか、悪戯仕掛け人+リリー(といいつつ何だかんだで主にジェームズ)といる時間が増えた。どうにも私への呼び出しを快く思わず(もしくは心配して)くれているので有難いが。
「レギュラスが恋人達と別れてた場面に私がいたとか、私がどこぞの誰かと逢い引きしてたのだとか…噂では沢山あるけどね」
「全部か」
「そう全部、ただの噂」
「あいつが別れたのは本当だがな」
「へー。そうなんだ」
うげ、余り好きでない果物が入っていた。紅茶で流し込む。喉につっかえた。
「どうでもよさそうだな」
それは違う。
「レギュラスの考えてることが分からないから反応できないの」
一応婚約者なのだ。理解できないと後々困るのに。
「僕が口出しすることではないが…レギュラスはお前を嫌っていないだろう」
「私もそう思うよ」
いや理解できなくともいいのだ本当は。
私が、私とフェルリナが被害さえ受けなければ。
「こんにちは、さん」
「…こんにちは婚約者様」
咄嗟に出た言葉に、含みを感じましすねとレギュラスは言った。
セブルスと別れた図書館前の廊下から、場所を移して再び図書館へ。
さっきよりも大分奥の人気のない所で、レギュラスと私は隣り合わせで腰を落ち着かせた。互いに課題を手に持っていたが…それは今はどけられ、机の前方に置かれている。
「で、僕に何か言いたいことでも?」
「……」
「遠慮はいりませんよ?さん」
偉そうに。
やはり、意図して私にが被害を受けるようにしたのではと思えてしまう。
一体私に何の恨みがあるというのだ。
「恋人達と別れたそうですね」
「はい。先輩と付き合っているのですから、必要ないでしょう?」
まるで物のような言い方をする。そしてそれが様になっている。
「……私と付き合うという話を無かったことにして、彼女たちとよりを戻してくれませんか」
レギュラスは意味がわからないというように、眉を寄せた。
「…どうしてですか」
「こちらとしては…そちらが望むことは断れませんが、婚約者なのですから付き合う必要なんてないでしょう。お友達が煩わしいのかもしれませんが、私の方に被害が来るようなことをしないでくださいミスター」
せめて公式に婚約発表されるまでは我慢してほしい。こちらには何も庇護してくれるものが無いのだ。
貴方と違って。
「……………………僕が、この一カ月貴方と会おうとしなかった理由を聞かないんですか」
「被害が無い事の方が優先なので」
聞きたくないわけではない。気になっていないわけでもない。
レギュラスは長い溜息をついた。随分と疲労の感じられるものだった。
「…僕は何か大きな勘違いをしてみたいです」
「そうですか」
「ただ…そう……」
彼が顔を上げる。その名の通り、真っ黒な目と正面から目が会った。
「僕は先輩の事が好きなんです」
夏なんかじゃない、ずっと前から好きで、好きだから誰かに取られたくなくて、婚約してもらった。好きだから好きになってほしくて告白して。好きだからわざと距離を置いた。先輩に僕を好きになってほしかったから。僕の事を考えてほしかったから。好きだから。少しでも僕の事を気にしてほしかったから。
「レ、レギュラス…」
がつん!と言われたことの衝撃が大きくて、無意識に身を引く。
それを許さないというように、レギュラスが体を移動させて私を包むように抱きしめる。
「…待って、ちょっと、まって、っ」
レギュラスの言ったことが上手く消化できなくて、レギュラスは私を抱きしめたまなのにうわ言の様な声が出る。
体の奥が痺れる様にじーんとして、何故だか少し涙が出て来た。
ああ、そうだ。こんなふうに、何の仕掛けもなく、飾り気もなく、ましてや狙ったわけでもなく誰かに言われたとなんてはじめてなんだ。