付き合いだして
ドリーム小説 付き合いだしたといっても私とレギュラスはほとんど行動を共にしなかった。
グリフィンドールとスリザリン。しかも学年が違うとなれば、弟であるフェルリナと同じように、互いに示し合わせでもしない限り挨拶をすることもまれだった。
それでもレギュラスは私と付き合う上で表面上は真面目にするつもりらしく、恋人とも別れ、取り巻きからも女は消えたという噂が聞こえて来ていた。
私は気にしないというのに。
そんな彼の行動もあって(いやなくてもだろうけれど)私の所に徐々に呼び出しがやって来た。てっきり私が婚約者だと知らないお姉さま方ばかりだろうと思っていたのだがそれ程偏りは無かった。
上級生よりむしろ下級生。
まだ非公式である私達の婚約を知らされるような純血一族でないスリザリン生と、そんなものとは関わりなく生きているだろう者達だった。
寮関係なく好かれているようでなにより。
私はどんどこと嫌われているかもしれませんが。
ちなみに目の前のレイブンクロー生の女の子はうだうだと私を説得している。ループしてる。
うん、説得力に欠ける。もう少し頑張れ。

「…だから先輩にはレシィのような子が相応しいと思うんです。こう言っては何ですが…」

自分のため以外でこのんなに長時間人を説得するにはどれほどのエネルギーが必要なのだろう。
この子がそのレシィをとても大切に思っているのはわかる。
自慢げに教えられる情報が正しければ恐らくそれは、レーシリア・パトールソン?とかいう子だろう。確かフェルリナと同学年だったはずだ。でも彼女はレイブンクローではなかったような気がするのだが。

「…聞いてるんですか先輩っ!!」
「はぁ」

もう、そろそろいいだろうか。

「…用があるなら本人が来て下さいよ。じゃあね」
「まちなさいよ!」

とうとう言葉が荒れて来た子の横を抜け手外に出て、柱の陰で目くらまし呪文。

「…いないっ!……あの女っっ」

ぎりっと爪でも(ハンカチでも?)噛みそうな雰囲気を出してその子は去って行った。

「……面倒」
「そうだな」
「………こんにちはブラック」
「もう少し反応したらだどうだ」

自分の直ぐ横からブラックが現れて、驚いていないはずが無いだろう。むしろ驚きすぎて反応できない。
こいつまつ毛長いな。
そのまま少し下を見ればブラックの頬には見事な手の痕が。一応美形だというのに。

「……………御愁傷様です」
「思ってないだろ」
「興味が無いだけです」

あったとしたら、嫌悪感が増すだけだろう。特に昔は。

「昔からな」

直前の思考の一部とブラックの発言が被って、意味がわからなくなる。

「?」
「いや…何でもない」

そういうとブラックも去って行った。
後姿だけでは、本当に彼の弟と間違ってしまいそう。
そういえば二人きりも珍しいが、彼と二人きりで呪文が飛びださなかったとはさらに珍しい。
興味。むしろ興味があるのは何でこんなに和やかに(?)私とこの男が喋っていたのかだ。
しかも柱の陰でまつ毛の長さが見えるほどの至近距離。見方によっては結構問題だったろう。
さいわい人気は無かったけれど。




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