珍しいふたり
ドリーム小説
と、まあそんなグリフィンドール並のど真ん中すぎるセリフを言えるはずもなく、事は様子のおかしい私をセブルスが心配する程度となった。
危ない、危ない。
私はシリアスなんて柄じゃないのだ。
家に帰って少し鬱になったらしい。
先ほどのセリフ、いくらセブルス相手でも不用心というものだった。
私の、の地位が危うくなりかねない。
フェルリナ以外、どうでもいい家族だけれど。そう思いたい家族であるけれど。
グリフィンドールの人間が(特にジェームズあたりが)聞けば耳を疑うだろうが、死喰い人になりたくないというものは意外と多い。
闇の魔術やマグル差別に反感を抱いているわけでもない。そんなの今さらすぎる。純血思想と同じ。
ただ、好ましいと思うかどうか恐怖しないかは別だけれど…ここに属する子供たちはそれぞれ皆割り切っていた。
それはダンブルドアに言わせれば、悲しいことなのかもしれない。
何となく、あの老人はそう言いそうな気がする。
正式に話したこともないのに、そう思うのは周囲のせいだろう。毒されている。
「全くセブルスは心配性だね―」
大広間までの道でへにゃへにゃと気の抜ける頬笑みを浮かべると、照れたようにセブルスはそっぽを向いた。黒髪から見える耳が少し赤い。
え、なに、少し可愛いんですけど。
今夜リリーに話してあげよう。
昨晩は何故かリリーとセブルスの可愛さについて語り合い会となってしまった。
いや、幼馴染なのは知っているけど、ほんと何故。
二人で寝不足の目を擦りながら(それでも彼女は美しいが)、談話室に降りると、今日も元気にジェームズが絡んで来て、その後ろに三人……特に目についたのは疲れた様子のルーピンだった。
どうしたと聞きたくなるような状態だった。
それはリリーもそうだったようで、ジェームズを半ばなぎ倒すようにして(さすがだ)、ルーピンに声をかける。
ちょっとねと答える、ルーピンの表情が何だか嫌で、気付けば足元に転がっていたジェームズを共に先に廊下に出て来てしまった。
「ー?」
まったく、何をやっているのやら。
セブルス辺りが見たら呆れそうだ。
この鋭い男といたらする話題はあの男の事しかない。
私よ。なにを好んでこの男を引っ張ってきたのか。
パンパンと埃を払って、男が立つ。
「どうして声をかけないんだい?」
来た。
「………」
が、(微塵も思っていないが)申し訳ないことに、私は答える言葉を持たない。
「……それは私が聞きたいことだよ。ねえOWL首席さん?」
ジェームズは困ったように首を振った。
「それは僕が言っていいことじゃないよ」
「そう」
こういう真剣な話の時の彼の判断は信用している。そして私のことながらその正確さも。
そして、半ば予想していた答えだったので、私の返事は素っ気なかった。
それから私とジェームズはその事に触れることなく、去年のOWLと今年の姿現し試験の話をしながら大広間へと向かったのだった。
思えば珍しい組み合わせの二人組だった。