走る
ドリーム小説 クリスマスが終わればすぐに休暇は過ぎていった。
そして試験が近付いたある日。
私は、人気のない廊下を医務室向って走っていた。
恐らく私が通った後には、廊下が汚れているだろうと思う。
痛みを無視して勢いよく廊下を曲がる。階段に出た所で、迷わず飛び降りた。
後方から悲鳴が聞こえるが無視。
落下直前に浮遊呪文を唱える。
にしても普通男が、仮にも付き合っていた女にこんな怪我を負わすものなのだろうか。
しかも逆切れで。スリザリンの男がだ。単細胞のグリフィンドールでもあるまいし。
ふつふつと怒りがわいてきた所で、医務室の両開きの扉が見えてきた。
挨拶もそこそこに、滑り込めば、視界に入ったのは予想外の人物達で。

「リリーにジェームズ達?」

当然その中には、ルーピンもいて。

「………!?」

彼は私の足――裂かれたぐっしょりと血で濡れるローブとスカートとそこから見える見事なまでにパックリとさけたふとももを見て悲鳴に近い声で私を呼んだ。
残念な事に彼以外の声は霧がかって聞こえ、そのまま私の意識は反転した。



何かが頬をなで白い光が目に入った。
医務室で目覚めたサキは、マダムから絶対安静を言い渡された。
あの出血で走り回りなおかつ飛び降りるなんて何を考えているのかと怒られた。
非常に恐かった。
その日の夕方、クィリナスとセブルスが見舞いに来てくれた。
こちらも恐かった。
かんかんと怒るクィリナスに背後に何か黒い物を背負って毒舌を吐き睨みつけてくるセブルス。セブルスには聞きたいことがあったので引きとめ、渋るクィリナスにごめんといって先に帰ってもらう。
用件を切り出す前に、セブルスが口を開いた。

「誰がお前を傷つけたのか、スリザリンでは大体知れ渡っている。僕から先輩に口をきけばどうにでも出来るが…お前はどうしたい?」
「うん、流石セブルス」

察しがいい。
セブルスの言葉が嬉しくて思わずふふと笑うと、真剣に考えろと怒られる。

「…うーん。でも、とりあえずは自分で何とかするよ」

セブルスにため息をつかれた。
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