意外に
ドリーム小説 ちょっといいかしらそう声をかけると、何故か私の悩みの種であるところのルーピンが近づいてきた。
やめてくれ。
思わず顔をしかめてしまった。

「あ…」

途端ルーピンは悲しそうな顔をし、私から距離を取った。
少し罪悪感を覚えてしまう。

「やあ。もしかしてリリーが…げふっ!」

やっと手の届く範囲に入ったジェームズを引っ掴んで、私は寮の談話室を出た。
「ちょっと聞きたいんだけど」
なになに、リリーの魅力についてかい?などとふざけた言葉は無視をして(私も必死なのだ)私はルーピンのことだと言った。
それを聞いて、先ほどとは別の意味で目を輝かせたジェームズは、しかし私が話をするにつれて何故か悔しそうに顔を歪めた。

「それで君は…僕からどんなことを聞きたい?」
「…ルーピンの表情の訳を」
「どうして?ここ数日、君はリーマスを避けていた。なのにどうして?」

そうだ、ここ数日ずっと自信に問いかけてきた。
何故私はこんなにもルーピンの表情を気にしている?どうして彼のことを考え続けている?
それは苦手とするジェームズ・ポッターに声をかけるという行動を起こした今になってもわからなくて。
私は頼りない視線を彼に返すことしか出来なかった。

「わかんない、か」

そっかと笑った彼は普段からは考えられないほどに大人びて頼りがいのある様子で、何だ馬鹿なだけじゃないんだと私は思わずこぼしてしまった。
するときょとんと彼は面食らって、何だいそんなの当然だよ!と力強く彼は言い切った。



答えが出なくても、私達学生の時間は進んでいく。
やがて四年目の秋が来てハローウィンも過ぎ、冬がやって来た。
クリスマス休暇をどう過ごすかをクィリナスやリリーと話しながら、はふと、この頃もはや習慣のようになりつつある彼のことを考えた。
彼は寮に残るらしい。聞いてもいないのに、ジェームズが教えてくれた。
そのジェームズはジェームズでリリーの情報なんてもうとっくに手に入れているだろうに。
それを指摘すると、彼は意味ありげににやりと笑っただけだった。
ルーピンの謎は今だ解ける兆しがないが、彼は彼で何を考えているのだろう。
会話をするにつれて、彼がただの目立ちたがりの卑怯者ではないとは分かっていたが、だからといって純粋な善意とは全く思っていない。代償に何を迫られることやら。リリー関係だけであることを願おう。


「ああ、ごめんセブルス」

聞いてなかったと笑えば、はあと呆れられる。
それに怒りを抱くことはもう少ない。
そういえばセブルスとリリーは幼馴染に当たるらしい。
純血主義の彼が、彼女を貶さないなとは思っていたがそんな繋がりがあったとは。
世界とは、いや魔法界とは狭いものだなと知った時思った。
← back to index
template : A Moveable Feast